小中学生1人1台パソコンを使えるようにするGIGAスクール構想。予算がとんでもない額に……。

投稿者: | 2020年1月30日

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政府の経済対策のひとつ、小中学生がパソコンを1人1台使えるようにするという「GIGAスクール構想」に関するニュースが話題になっています。

1月20日に召集された通常国会では、IRを巡る汚職事件の追及などに注目が集まるが、見逃せないのが政府の経済対策の中身だ。目玉のひとつが、小中学生がパソコンを1人1台使えるようにする「GIGAスクール構想」である。これに4000億円もの巨費が投じられようとしている。

 まず小学5、6年と中学1年の全児童・生徒の約400万人分を教室に配備し、無線LAN環境を整える。さらに3年で小中の全学年で「1人1台」を実現する方針で、手始めに2019年度補正予算に2318億円を計上した。
NEWSポストセブン

記事によれば現段階では各地域ごとに実施率にバラつきがあり、都道府県平均では5.4人に1台となっているようです。
そして記事後半では既に1人1台を実現した東京都渋谷区のケースが紹介されています。

 すでに1人1台を実現した渋谷区教育委員会の場合で検証してみよう。全小中学生に加え、教員分も含め8900台を2017、2018、2019年度と3か年で整備し、調達はリース契約によるものだった。

 各年度の調達契約は3年リースで、リース料総額24億7200万円。この「合計額」を「端末数」で割って単価を計算すると、1台あたり実に27万8000円になる。

 家電量販店でもノートPCで1台27万円はほとんどお目にかかれない高性能品に相当する。プロゲーマー向けの高速処理が可能なデスクトップPCが買える金額だ。しかし、区教委がリースしたのは富士通の「アローズタブ」。2017年当時に新聞に掲載された同じシリーズの商品の小売希望価格(8万5300円)からしても3倍以上、文科省の報告書が示した目安からすると6倍にもなる。

 渋谷区だけではない。2015年から3か年にわたって8500台を5年リースの契約で調達した東京都(196校の都立高校等)でも、端末1台あたりのリース料総額は25万円だ。

 市販品に比べ割高である点を渋谷区の担当者に訊くと、「端末代だけではなく、保管ラックも必要だし、初期設定を含めた保守の費用、無線LANの設置費用も含まれる」という。

 区教委も都教育庁もいくらの端末代を前提に契約したのかを明らかにしなかった。回答に共通するのは機器の故障に対応する保守要員の人件費が加わっていることだ。結果、端末代が適正かどうかは見えにくくなる。
NEWSポストセブン

3年間のリース契約で1人あたり27万円

27万円も出せばかなりハイスペックなマシンが買える金額です。
では実際に導入された端末はどのようなものなのでしょうか。
調べてみたところ富士通の「ARROWS Tab Q507/PE」というタブレット端末のようです。

スペックがドンキホーテの2万円タブレット並

ARROWS Tab Q507/PEの製品紹介ページから仕様を確認してみたところ、どうやらハイスペックと呼ぶには遠く及ばない模様です。
CPUはインテルAtom、メモリ4GB、ストレージ64GBという、数年前の入門用タブレットといった性能。
導入されているのはLTEモデル且つWndows10 Pro版で富士通の希望小売は約12万円超です。

他方、日本最大級のディスカウントストア「ドンキホーテ」が販売しているブライベートブランド「情熱価格のタブレットPC「ジブン専用PC&タブレットRM-A107-SR」のCPUはCherry Trail T3-Z8350、メモリ4GB、ストレージ64GBとほぼ同性能。
価格は19800円(税別)です。

そしてこのCPUとメモリではOS(Windows10)を動かすのでほぼ精一杯な性能で、動作は快適とは言い難く。
ネット上では「高すぎる」「ぼったくり」という意見も出てきています。

27万円に含まれるのは端末代だけではない

タブレットの本体価格だけで判断すると「高い」という感想はもっともなものですが、1人あたり27万円の中には端末代だけでなく保管棚やサポート費用、さらにはLTEで24時間どこからでも通信可能となっており、リース期間3年分の通信費も含まれているようです。
また、小中学生向けということで専用の学習ソフトがプリインストールされており、そのソフト代等も含まれている模様。

政府の経済対策であるということ

端末の価格云々よりも肝心なのは政府の経済対策であるという点です。
海外メーカーの製品ではなく日本の富士通製品が選ばれているのにはそのような背景があるようです。

一概には判断できない

1つの学校に数百台単位で固まっているのでバラバラに個別対応するような場合と違って保守費用なども個人よりは安く済みそうな印象ですが、その内訳などは知る由も無いため、27万円という金額の妥当性は簡単には判断できない内容になっています。
これまでの本ベースの学習教材などが全て電子化されて置き換わるとすれば高額すぎるというものではないのかも知れません。