殺人罪で無期懲役判決を受けて万歳三唱した小島被告、その父親へのインタビューを含む記事を読んでの感想

投稿者: | 2019年12月21日

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2019年6月に起きた新幹線殺傷事件で無期懲役判決を受けた小島被告の父親に対するインタビュー記事が文春オンラインで公開されました。

2018年6月9日に起こった新幹線殺傷事件で、横浜地裁は小島一朗被告に無期懲役を言い渡した。これは皮肉にも被告自身が望んでいた判決であり、言い渡された際に「控訴はいたしません。万歳三唱します」と叫び、両手を上げて万歳したという。

 被告が「一生刑務所に入っていたい」と考え事件を起こすに至るまで、一体何があったのか。事件発生当時、世間の耳目を集めたのは、実の息子を赤の他人のように「一朗君」と呼ぶ被告の父だった。その真意はどこにあるのか、150分に渡り話を聞いた「週刊文春」2018年6月21日号の記事を公開する。
文春オンライン

定番の「アスペルガー症候群」

小島被告の父親への取材内容で「アスペルガー症候群」という言葉が出てきます。
小島被告が5歳のころに児童相談所から指摘されていたようですが、母親は「そんなの大きくなれば治る」と言い、その後も学校の先生から「この子は普通ですよ」と言われたことなどから特に病院の世話になることもなく過ごしてきたとのこと。
小島被告が14歳のときには被告自ら病院へ行こうとしたが、高額な医療費を理由にお金は渡さず、病院に行くことは無かったそうです。
しかし、2017年2月には周囲のすすめもあり地元の専門病院に入院し、自閉症の診断を受けていたようです。

そもそもアスペルガー症候群とは何か?

参考:アスペルガー症候群について(厚生労働省)
アスペルガー症候群とは自閉症の一種であり、知的発達やコミュニケーション能力は常人と大差ないのですが、協調性に欠けていて集団生活が苦手だったり、世間一般からみて「独特」と思われるような言動が目立つ人をさして言われます。
知的障害の無い自閉症には「高機能自閉症」と呼ばれるものもあります。

ネット上でよく見る「コミュ障」と表現される状態は「高機能自閉症」や「アスペルガー症候群」に該当すると思われます。

厚生労働省の記事によればアスペルガー症候群の人は約4000人に1人、自閉症の人は約100人に1人いると書かれているように「他人と上手くコミュニケーションが取れない」と感じたことがある人は決して少なくないと思います。
かくいう筆者自身も集団行動より1人や少数を好みますし、病院で診断を受けたら自閉症やアスペルガー症候群に該当するのかも知れません。
そして類は友を呼ぶのか、筆者の周りには自分と似たような人間が多くいます。

ここで厚生労働省が書いている人数について改めて考えてみると、筆者のように「自分も該当するかもしれない、と思いつつも特に困っていないから病院などの世話になったことはない」という人は分母に含まれておらず、もっと沢山いる可能性があります。

事件との因果関係

文春オンラインの記事の最後のページには以下のような記述があります。

言うまでもないが、発達障害が直接事件と結びつくものではない。

「発達障害」(文春新書)の著書がある昭和大学医学部・岩波明教授が語る。

「発達障害という病気は実はなくて、精神上におこる障害の総称。日本の場合はアスペルガー症候群を指す場合が多い。アスペルガー症候群は、いまは自閉症スペクトラム障害と呼ばれているのですが、対人関係・社会性の障害で、集団生活で溶け込めないということがしばしば起こり、不登校や引き籠りになるケースが多い。また発達障害の子供が親からのネグレクトや虐待に遭うというケースもかなり多いのです」 様々なマイナス要因、不幸の連鎖が重なり、最悪のケースに至ってしまう。岩波氏は「彼の精神を荒廃させるような環境が事件に繋がった可能性はある」と指摘する。文春オンライン

自閉症スペクトラム障害に該当するからといって「犯罪を起こすリスクが高い」わけではありません。
周囲とのコミュニケーションが上手く取れないことが原因で精神衛生上マイナスになる出来事が起こり、最終的にそのような事件を起こしてしまうような精神状態に陥ってしまった、という結果に過ぎません。

自分が加害者にならないために

小島被告は「刑務所に入りたかった」と供述していますが、筆者はそんなことを本当に望んでいたわけがないと考えています。
積もり積もったストレスをとことん拗らせた反抗心がそのような供述や判決後の万歳三唱に繋がったのだと思います。

筆者個人としては、結局のところ「ストレスとの向き合い方」だと思っています。
望まない出来事が続いたとき、ストレスを抱えこんでしまっていると自分で自分を制御できなくなってしまうこともあるかもしれません。

他人に危害を加えないやり方で自分なりのストレス発散法を見つけておき、日ごろから小さなストレスを消化する習慣を持っておくことが対策になると思っています。
自分で見つけられないときは周りの人間や精神科などへ相談するなりして、負の感情から逃れる方法を探しましょう。